診療科紹介

糖尿病内分泌科

 

糖尿病外来

糖尿病の指導、外来管理を管理栄養士と薬剤師とともに担当しています。妊娠糖尿病の管理もしております。糖尿病のコントロール目的の入院も担当しています。

 

糖尿病コントロール入院

外来で、糖尿病コントロールが困難な場合は、金曜日入院、金曜日退院8日間の入院プログラムでほぼ良好な血糖コントロールが得られます。
患者さんのインスリン分泌能に合わせて、食事療法、運動療法に加えて、注射による治療も導入します。

動脈硬化のチェックも入院中に合わせて行います。
3種類のパスを使用しています。ご参照ください。

 

入院中の食事

病態によりカロリーを決め、炭水化物の量を決めます。
炭水化物 40%の炭水化物軽度制限食を基本にします。

糖質
エネルギー比
タンパク質
エネルギー比
脂質
エネルギー比
塩分
糖質制限(1200Kcal) 35~45% 20~30% 25~35% 6g未満
糖質制限(1400Kcal) 35~45% 20~30% 25~35% 6g未満
糖質制限(1600Kcal) 35~45% 20~30% 25~35% 6g未満

 

入院中の運動

多目的室に、フィットネスマシン ウォーキング、自転車こぎ、オール漕ぎ、足踏みなど、トレーニングマシンを各種取り揃えています。
1機種5分程度で1日3回運動していただきます。

 

入院中の自己学習

多目的室に糖尿病教育用DVDライブラリーをおいています。視聴していただきます。

 

入院中の検査

血糖値の検査の他、頸動脈エコー、腹部エコー、脈波図、心エコー

体組成計検査

 

入院中の指導

薬剤師、管理栄養士、医師、看護師の指導があります。

 

糖尿病とは

膵臓からのインスリン分泌が少なくなり発症するタイプ(インスリン分泌低下型)とインスリン分泌は保たれているけれども、様々な要因で発症するタイプ(インスリン抵抗性型)があります。
糖尿病は、体のエネルギー源になる炭水化物(ごはん、麺類、パン、お菓子、清涼飲料水など)の処理がうまくできない病気です。食事療法が重要です。

 

糖尿病で起きる障害とは

糖尿病は自覚症状が乏しく血管の障害が一番大きな問題点です。

65歳以上の糖尿病患者の16%は脳卒中で死亡1)
糖尿病患者の50-80%が心血管疾患で死亡2)
40歳以上の糖尿病患者のうち29%が網膜症を有する。3)
腎不全の新規患者の44%は糖尿病が原因3)
下肢切断の60%は糖尿病が原因(外傷以外)3)

1)American Heart Association Fact Sheet 2014
2)WHO 10Facts about Diabetes
3)Adapted from: CDC 2014 National Diabetes Fact Sheet

 

目の障害・・・眼底の血管が出血したりする網膜症、すすめば失明します。
腎臓の障害・・・タンパク尿や、腎不全、 すすめば尿が出なくなり透析が必要です。
心臓の障害・・・心臓の働きが弱ったり(心不全)、冠動脈が細くなったり(狭心症)、詰まったり(心筋梗塞)します。
足の血管障害・・・足の血管が詰まり足が冷たくなり痛んだり、潰瘍ができたり、腐ったりします。
神経の障害・・・手足のしびれ、知覚の異常がきます。

 

食事療法

バランスのとれた、適切なカロリーの食事が重要です。

標準体重・・・身長により標準体重を計算します。
身長(m)×身長(m)×22kgで計算します。

身長170cmの人では、1.7(m)×1.7(m)×22=64kgが標準体重です。

目標摂取カロリー

体重が理想体重より

重い人   標準体重×25
軽い人   標準体重×30
同じくらい 標準体重×27 で計算します。

身長170cmのAさんの体重が80kgだったとすると、理想体重の64kgより重いので、目標摂取カロリーは、64(kg)×25=1600kcal となります。

これに、日常生活での運動量を考えて増減して摂取カロリーを決めます。

摂取カロリーの中での炭水化物の比率は糖尿病学会では50%~60%が推奨されています。極端な炭水化物の摂取制限は推奨していませんが、病態により40%程度の炭水化物制限食は指導しています。

 

運動療法

毎日の生活に取り入れ 無理のない量の運動を行いましょう。歩行なら一日10000歩、一日160kcalを消費する運動を勧めています。

 

インスリン分泌能の評価

いろいろな方法がありますが、Cペプチドの測定と、グルカゴン負荷試験で評価しています。

Cペプチドとは・・・

インスリンが体内で作られるときに同量Cペプチドが産生される。
血中半減期は11分。
腎機能低下では、排泄が悪くなるため血中のCPRは高くなり、尿中のCPRは低くなるので要注意

 

空腹時 Cペプチド

ng/ml      ~0.5          0.5-1.0        1.0~

食後2時間

ng/ml     ~1.0            1.0-2.0      2.0~

畜尿

μg/day   ~20             20-30        30~
インスリン注射が必要          インスリン抵抗性

 

インスリン分泌能と治療方針

CPI=空腹時のCPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
CPI <0.8   インスリン分泌不足
CPI >2  インスリン抵抗性型
CPI 8-1.2 軽度インスリン分泌不足

 

グルカゴン負荷試験

グルカゴン1mg静脈注射
前後で 血糖 Cペプチド
ΔCPR <1 インスリンのみ
1-2 経口薬 GLP1
>2 運動療法 食事療法 SGLT2

 

インスリン抵抗性とは

肝臓、筋肉、脂肪細胞の状態でインスリンが分泌されていても糖尿病になります。肝臓は、糖の貯蔵庫で血液中の糖を貯蔵し、必要に応じて血液に放出する重要な臓器です。肝臓の病気でこの働きが低下すると、糖尿病になります。また、アルコールは、焼酎、赤ワインなど飲酒しても直接血糖を上昇させることはありませんが、体にとっては毒なので、アルコールが体内にある間、糖の調節作用よりも、アルコール分解に肝臓が全力を注ぐので糖尿病にはよくない飲み物です。

筋肉にも、同様に糖が貯蔵されます。運動をすると、筋肉の糖が利用され、血液から筋肉に糖が移動し血糖値が低下します。

脂肪細胞は、同様に糖を貯蔵します。しかし、体内で使用されなかった、栄養分は脂肪細胞に、脂肪として蓄えられます。脂肪細胞が脂肪でいっぱいになってしまうと、糖の貯蔵庫としての機能が低下して糖尿病になります。

炭水化物摂取量が多いと、処理能力を超えますので血糖が上昇し糖尿病になります。食べ過ぎ、太りすぎ、運動不足で容易に糖尿病体質になります。逆に、適切な食事をして、ダイエットして、よく運動すると多くの糖尿病は改善します。

 

糖尿病の薬

スルホニル尿素(SU)薬

グリベンクラミド(ダオニール)、グリクラシド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)

膵臓に働いて、インスリン分泌を促進します。
インスリン抵抗性が強い患者には使用しません。
低血糖を起こしやすい。
インスリン分泌を強く働きかけ、膵臓を疲弊させるので、インスリン分泌が低下しており、反応が悪ければ、インスリン注射を勧めます。
効果は強い

即効型インスリン分泌促進薬(グリニド)

ナテグリニド(ファスティック)、ミチグリニド(グルファスト)、レパグリニド(ファスティック)

膵臓に働いて、インスリン分泌を促進します。
SU薬と違い作用は短期間持続で、食後の血糖を改善するのに有効です。
食直前に服用します。

α―グルコシダーゼ阻害薬

アカルボース(グルコバイ)、ボグリボース(ベイスン)、ミグリトール(セイブル)

食事の糖の吸収を遅らせることで食後の高血糖を抑制します。
食直前に服用します。
腹満、放屁の増加(おなら)、下痢をきたしやすい。
開腹手術の後の方は要注意(腸閉塞の危険性)です。
肝障害をきたすことがあります。
糖尿病では、食事の時にインスリン分泌反応が遅れるので、グリニドと併用するとより有効です。
低血糖はきたしにくい。

SGLT2阻害薬

イプラグリフロジン(スーグラ)、ダパグリフロジン(フォシーガ)、ルセオグリフロジン(ルセフィ)、トホグリフロジン(アプルウェイ)、カナグリフロジン(カナグル)、エンパクリフロジン(ジャディアンス)

近位尿細管で尿中の糖の再吸収を阻害して、尿糖を排泄することで血糖を下げ、糖を排泄することで、体重減少が得られます。
尿糖排泄 70~100g 300kcal-400kcal
利尿作用がある 浮腫患者◎ 脱水注意
血圧低下
尿路感染 女性の外陰部感染
腎機能低下例で効き目悪い
インスリン分泌低下例×
極端な炭水化物制限× 尿ケトンチェック
低血糖はきたしにくい。

メトホルミン メトグルコ

肝臓の糖新生抑制
消化管からの糖吸収の抑制
末梢でのインスリン感受性改善
体重増加しない 低血糖まれ
腎機能低下例男性Cr3女性Cr1.2 △
75歳以上△
ふらつき、倦怠感、嘔気、下痢きたしやすい
慣れる薬なので徐々に症状みて増量
1500mg常用 2250mgまで
1500mg以上使用すると強力
稀ではあるが、乳酸アシドーシスをきたす。肝障害、腎機能低下、心不全、大量飲酒者で使用しにくい。
低血糖はきたしにくい。

ピオグリタゾン(アクトス)

インスリン抵抗性改善
肥大化した脂肪細胞をいくつかの小さい脂肪細胞へ 脂肪の増殖 肥満につながる
低血糖まれ
浮腫、水分貯留出現しやすい 特に女性
骨芽細胞に働いて骨粗しょう症 ⇒ 70歳以上の女性で骨折倍
30mgが標準量 最大45mg

DPP4阻害薬

シタグリプチン(ジャヌビア)、ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン(ネシーナ)、リナグリプチン(トラゼンタ)、テネリグリプチン(テネリア)、アナグリプチン(スイニー)、サキサグリプチン(オングリザ)

血糖依存性インスリン分泌促進薬
インスリン分泌が軽度不足している糖尿病の患者に使用
低血糖を起こしにくい。
難治性皮膚掻痒症を投与後数か月以上経過してから発症することがある。
1週間に1度内服製剤 トレラグリプチン(ザファテック)、オマリグリプチン(マリゼブ)がある。

GLP1受動態作動薬 注射薬

リラグリチド(ビクトーザ)、リキシセナチド(リキスミア)、エキセナチド(バイエッタ)、デュラグルチド(トルリシティ)

血糖依存インスリン分泌促進
インスリン出てないとだめ
グルカゴン分泌抑制
胃内容排出抑制
食欲抑制 ダイエット効果
低血糖まれ
週1回製剤あり 認知症に使用
消化器の副作用多い 慣れあり
膵島ベーター細胞温存効果?
週一回注射製剤 トルリシティがあります。

インスリン

血液中の糖はインスリンの存在で肝臓などに取り込まれ低下する。
体内でインスリンは、基礎インスリンとして、食事をしていないときも一定の量が分泌されている。これを補うのが基礎インスリン。
ランタス(インスリングラルギン)、トレシーバーなどです。

超即効型インスリンは、食事で上昇した糖を感知して体内で分泌されるインスリンの代用として使用されます。
⇒ヒューマログ、アピドラ、ノボラピッド

注射製剤には、上記を中心にいろいろな種類があります。
その人の食事、生活に合わせて様々な組み合わせで使用します。

 

糖尿病の周辺疾患の治療

糖尿病は、動脈硬化を来し易い疾患で、予後を改善するためには、血糖コントロールだけではなく、高血圧、脂質、喫煙、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症の管理が重要です。

高血圧

高血圧で糖尿病がない方の高血圧治療目標は、75歳以上では病院血圧で150/90未満
75歳未満で140/90未満(高血圧治療ガイドライン2014)ですが、糖尿病合併例では、病院血圧130/80未満、家庭血圧125/75未満です。

 

脂質異常症

動脈硬化性疾患予防ガイドライン(悪玉コレステロール)管理目標は120未満
冠動脈疾患合併患者の管理目標は100未満です。
アメリカのガイドラインでは、糖尿病患者の管理目標は70未満です。

喫煙

喫煙は単独の因子で最も寿命に影響があり、たばこ一般で5分30秒寿命が短縮します。
動脈硬化が原因の脳血管疾患、心筋梗塞などの発症率が上がることに加えて、喉頭がん、肺がんなどの発症率が上昇します。
以前に比べて、禁煙しやすくなっておりますので、禁煙外来に相談してください。

糖尿病性腎症

腎臓が悪くなると、尿にタンパク質が漏れてきます。
第2期 微量アルブミン尿30~299mg/gCr eGFR 30以上
第3期 顕性アルブミン尿300mg/gCr  eGFR 30以上
第4期 eGFR 30未満
第5期 透析

通常の検尿でタンパクが認められない時期から、管理が必要です。
尿アルブミン、尿中L-FABP、尿Ⅳ型コラーゲンなどで、予後予測ができます。

糖尿病性網膜症

糖尿のコントロールが悪いと網膜症を合併しますが、長年の積み重ねで網膜症となります。失明しないように定期的な眼科受診が必要です。

 

動脈硬化チェックのための検査

ABI

両上腕と両足首、両指で同時に血圧を測定します。血管年齢と、下肢の血管のつまりの程度がわかります。

頸部血管エコー

頸部の動脈は、皮膚の直下にありエコー検査で詳細に観察できます。正常の血管壁の厚さは1mmまでですが、動脈硬化でコレステロールが沈着(プラーク)すると分厚くなります。経時的に観察できるように分割、測定してプラークスコアを求めています。

血管エコー

腹部の大動脈、腎動脈、下肢の動脈の状態をエコーで観察します。

上記を合わせて動脈硬化外来でチェックしましょう。

CT検査

造影剤を使用しますが、当院には320列CT装置があり、少量の造影剤で冠動脈の状態と胸部、腹部のがん検診も併せて検査可能です。

MRI検査

造影剤なしで、四肢の血管、腎動脈の状態を血管造影と同様に検査できます。冠動脈の撮像も造影剤なしで可能です。MRI用の造影剤を使用した、遅延造影像で狭心症も評価できます。

シンチ検査

腎機能が低下している患者でも、冠動脈に狭窄を来しているか評価できます。

糖尿病治療のための特殊な検査、治療

持続グルコース測定(CGM)

皮下組織に専用のセンサーを装着し連続的に糖濃度の変動を見ます。
血糖値の日内変動を詳しく把握することで、治療方針の見直しをします。
連続6日間までの測定が可能です。

インスリンポンプ療法

インスリンポンプ療法(CSII)は携帯型インスリン注入ポンプを用いて、インスリンを皮下に持続的に注入する治療方法です。従来の治療で血糖コントロールが難しかったり、血糖コントロールをよりよくしたい場合に有効と考えられています。CGMと組み合わせると、高血糖時、低血糖時にアラームがなり、補正できるなど、機械の進歩が著しい分野です。

 

医師紹介

非常勤医師

北江 彩(京都府立医科大学)
中島 華子(京都府立医科大学)
市川 貴博(京都府立医科大学)

採用情報

  1. 医師採用

  2. 看護職採用

公開情報

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