診療科の特色
宇治徳洲会病院にペインセンターが開設されて以来、痛みの治療を専門的に行っております。
米国では2001年からの10年間を、『痛みのコントロールと研究の10年』と位置づけており、国家プロジェクトとして痛みへの対策を実行してきました。
本邦での取り組みとしては、2007年の医学会総会におきまして、痛みに対する治療の選択がパネルディスカッションとして取り上げられたことがありましたが、その後も残念ながら飛躍的な変化は見られず、平行線のまま現状に至っていると言わざるを得ないのが実情です。
痛みは、身体に生じた異常事態を知らせる警告反応として、大切な役割を持っています。しかし、痛みの原因が明らかとなった後、痛みは私たちにとって有益な存在から不必要な、さらには有害な存在へと変わって行きます。 警告の役割を終えた痛みが長く持続していると、より 強い痛みや新しい痛みが現れて来る—いわゆる痛みの悪循環が生じます。痛みが長期化すると、私たちの生活の質(Qualityoflife︓QOL) を低下させることにもなります。このような状態に陥った時はもちろんのこと陥りそうな時には、身体的や精神的な苦痛を適切に緩和することがとても重要です。
痛みとは
痛みは、身体に生じた異常事態を知らせる警告反応として大切な役割を持っています。しかし、痛みの原因が明らかとなった後、痛みは私たちにとって有益な存在から不必要な、さらには有害な存在へと変わって行きます。
警告の役割を終えた痛みが長く持続していると、より強い痛みや新しい痛みが現れて来る—いわゆる痛みの悪循環が生じます。痛みが長期化すると、私たちの生活の質(Quality of life:QOL)を低下させることにもなります。
このような状態に陥った時はもちろんのこと、陥りそうな時には、身体的や精神的な苦痛を適切に緩和することがとても重要です。
診療内容・方針
ペインセンターでは、薬物療法や神経ブロック療法等の様々な方法を用い、有害な痛みを緩和するための治療を行っています。痛みの治療は、専門的な知識と技術を基に、症状や身体所見から痛みの原因を診断して、 適切な検査や治療を行います。
痛みの種類は、本来の痛みの機能に由来する痛み(侵害受容性疼痛)、病的な痛み(神経障害性疼痛)、心情と密接に関係する痛み(心因性疼痛)など多種多様ですが、全ての痛みをペインセンターの対象として取り扱います。
地域医療への連携
ペインセンターにおける疼痛治療の最大の特徴は、薬物療法以外の神経ブロック療法などのInterventional pain treatmentが多用されていることで、平成27年度は、1,689件の施行で有りましたのが、平成28年度は2,213件と500件増となっています。
また、その増加分の中身も、硬膜外ブロックが著明に増加しており、その中でも頚・胸部硬膜外ブロックの施行例数は倍増しています。
また、持続硬膜外ブロックを施行した対症疾患としては、癌性疼痛のみならず、下肢の虚血性病変に対する例が増加しており、これらの疾患に対しては痛みのコントロールと同時に交感神経遮断効果がもたらす、循環改善作用による病変部の治癒促進効果も期待出来ます。
そして、この虚血性病変に対するInterventional pain treatmentとしては、神経ブロック療法のみならず、Spinal cord stimulationを含めた総合的な改善を図る治療を当センターは目指しています。
そして、この様な方向性のペインセンターは全国的にも、未だ確立されていないのが現状ですので、この領域の先駆けを目指して進みたいと考えています。
片頭痛をはじめとする頭痛全般、顔面痛の三叉神経痛、筋骨格系疼痛(筋々膜性疼痛、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、腰椎術後疼痛、肩関節周囲炎、胸郭出口症候群など)、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛、がん性疼痛、閉塞性動脈硬化症やバージャー病、膠原病などによる難治性潰瘍、術後痛、複合性局所疼痛症候群、幻肢痛、引き抜き損傷後疼痛など、多種多様です。
部位別にみても、頭部・顔面痛、頚肩腕痛、胸背部痛、腹痛、腰下肢痛、骨盤内・陰部痛など身体のあらゆる箇所の痛みが対象となります。
各種がんに伴う痛みについては、薬物療法に限界のある場合でもインターベンショナル疼痛治療を併用して鎮痛効果がみられる場合もありますので、対応可能です。
医師紹介
氏名 | 役職 | 専門医・認定医・その他講習修了 |
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村川 和重 | 顧問 ペインセンター長 | 医学博士 日本麻酔科学会 麻酔科専門医・指導医 日本ペインクリニック学会 ペインクリニック専門医・名誉会員 日本慢性疼痛学会 慢性疼痛専門医・理事 日本ニューロモデュレーション学会 名誉会員 麻酔科標榜医 |