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ダ・ヴィンチの画像
Hugoの画像

当院では2011年8月に内視鏡手術支援ロボットである「ダ・ヴィンチ」を導入し 前立腺全摘除術・腎部分切除術を積極的に行ってきました。
また、2018年9月24日には最新版の「ダ・ヴィンチ Xi」を導入するなど常に最先端の装置を取り入れるよう常に心がけています。

その後、内視鏡手術支援ロボット「Hugo™ RASシステム(Hugo™)」が新たに導入されました。
Hugo™はアームがそれぞれ独立したカートに装着されているため、ダ・ヴィンチに比べて配置の自由度や操作の範囲が拡大されたことが大きな特徴です。

ロボット手術とは?

ロボット手術はこれまでの腹腔鏡手術の利点をさらに向上させることができると期待され、次世代の医療改革の一端を担った分野と考えられています。
ロボットを活用することで、3次元の正確な画像情報に基づいて、より細やかな手術、より安全かつ負担の少ない手術が可能となります。

Hugoロボット手術の紹介

01
独立したアーム

Hugo (ヒューゴ) は独立したロボットアームのデザインを採用しているため、患者さんの体型や術式などに関係なく、手術が可能となります。


02
広い可動域

Hugo (ヒューゴ) のロボットアームは可動域が広いため、自由度が高く、腹腔内(お腹の中)で広範囲に自在に操作をすることが可能となります。


ダ・ヴィンチロボット手術の紹介

01
高解像度3D画像

医師は内視鏡の3Dカメラで映し出された鮮明な立体画像を見ながら手術します。この3Dカメラのデジタルズーム機能は術部を10倍まで拡大することができます。




02
自由度を有するロボット鉗子

ロボットアームの先端は医師の手と完璧に連動し、自分でメスを持っているような感覚で手術できるのが特徴で、ロボットにしかできない動き(関節の 270度回転など)が加わることで、開腹手術でも困難であった操作を可能とします。


03
自然な操作感

手術操作時に用いるロボットアームは、人の手以上に器用な動きが可能で、狭い隙間でも自由に器具を操作することができます。
また、手先の震えが鉗子の先に伝わらないように手ぶれを補正する機能があり、細い血管の縫合や神経の剥離など緻密な作業も正確にできます。




病院外観の画像

年別手術件数 全科合計

年別手術件数 全科合計のグラフ

累計件数

前立腺

303

2011年~2024年
腎臓

76

2022年~2024年
直腸

96

(da Vinci Xi 68 / Hugo RAS 28) 2021年~2024年
結腸

65

(da Vinci Xi 37 / Hugo RAS 28) 2022年~2024年

11

2023年~2024年
膵臓

9

2023年~2024年

15

2024年~2024年
病院周辺の画像

当院で受けられるロボット手術

消化器外科
  • 胃がん
  • 大腸がん
肝・胆・膵外科
  • 膵体尾部切除術(脾同時切除)
  • 膵体尾部切除術(脾温存)
呼吸器外科
  • 原発性肺がん
  • 転移性肺がん
  • 縦隔腫瘍(胸腺腫など)
  • 胸壁膿瘍
泌尿器科
  • 前立腺全摘術
  • 腎摘除術
  • 腎部分切除術
  • 腎尿管摘除術
  • 腎盂形成術

ドクターコメント

消化器外科(下部消化管外科) 部長

長山 聡

  • 京都大学 医学博士
  • 日本外科学会 外科専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定医(消化器・一般外科)
  • Fellow of American Colleges of Surgery(FACS)
  • da Vinci Console Surgeon
  • Hugo RAS システム Console Surgeon
  • ロボット支援内視鏡手術プロクター da Vinci(結腸・直腸)
  • ロボット支援内視鏡手術暫定プロクター Hugo RAS システム(結腸・直腸)
  • 緩和ケア研修会 修了
  • 厚生労働省 臨床研修指導医
  • 日本癌学会 評議員
  • 日本消化器外科学会 評議員
  • 日本内視鏡外科学会 評議員
  • 緩和ケア研修会 修了

大腸手術におけるロボット手術のメリットは?

ロボットによる手術をおこなうことで、複雑で細かな手術手技が可能となります。また3次元による正確な画像情報を取得できるため、より安全かつ侵襲の少ない手術が可能となり、次世代の医療改革の一端を担った分野と考えられています。
従来の開腹手術と比較して、傷が小さく痛みが軽度で、手術後の回復が早い、手術中の出血量が少ないなどの利点があります。
特に骨盤の深いところを操作する直腸がん手術の場合では、このようなロボットの特性を最大限に活用することにより、繊細で精密な、出血量の少ない手術が施行できる可能性があり、根治性の改善、肛門・排尿・性機能などの機能温存の向上が期待できます。

ロボット手術の適応は?

当院では、緊急手術を除いた大腸手術すべてにロボット手術を導入しています。

ロボット手術の今後の展望は?

ロボット技術の飛躍的な進化により、今後さらなる精度向上と操作性の改善が見込まれます。将来的には、AI(人工知能)とロボットが融合することにより、極めて正確で精密、かつ安全なロボット手術が施行できるようになると期待されています。



Hugoの画像
消化器外科(上部消化管外科) 部長

橋本 恭一

  • 京都大学 医学博士
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定医
  • 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医
  • がん治療認定医
  • da Vinci Console Surgeon
  • 厚生労働省 臨床研修指導医
  • 緩和ケア研修会 修了
  • 近畿外科学会 評議員

胃がんに対するロボット手術の有用性

胃がん治療において、従来の外科手術に代わる新しい選択肢として注目を集めているのが「ロボット手術」です。この手術は、医師がロボットを操作して行う最新の治療法で、患者さんの体に優しいだけでなく、精密な手術を可能にする点が大きな特徴です。当院では、このロボット手術を取り入れ、より安全で効果的な治療を提供しています。

ロボット手術のメリットとは?

1. 体への負担を大幅に軽減

ロボット手術では、従来の手術と異なり、お腹に小さな穴を数カ所開けて器具を挿入します。これにより、切開が最小限で済むため傷が小さく、出血も抑えられます。その結果、患者さんの体への負担が軽減され、術後の痛みが少なく、回復も早くなります。


2. 精密で安全な手術が可能

ロボット手術では、医師がロボットアームを操作し、細かい動きや人の手では難しい角度での操作が可能です。この高い精度により、胃のがんを確実に取り除きながら、健康な組織を最大限に残すことができます。また、特に膵臓付近のデリケートな組織を傷つけるリスクを低減し、膵関連合併症の発生を抑えられるという利点があります。


3. 予後の延長が期待できる

手術の精度が向上することで、がんをより確実に切除することが可能になり、再発のリスクを低下させる可能性があります。これにより、患者さんの再発の危険性を低下させ、長期予後が期待されています。

どんな患者さんに向いているの?

ロボット手術は、特に早期の胃がんの患者さんに適しているとされていますが、進行がんの患者さんでも、その有効性が報告されています。ただし、手術の適応は患者さんの体の状態やがんの進行度によって異なりますので、担当医としっかり相談しながら治療方針を決めることが大切です。

当院では、経験豊富な医師と最新設備を揃え、患者さん一人ひとりに合った最適な治療を提供しています。不安な点やご不明な点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。

中山 雄介 医師写真
肝・胆・膵外科 副部長

中山 雄介

  • 医学博士
  • 日本外科学会 専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 専門医・指導医
  • 日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定医
  • 日本膵臓学会認定指導医
  • がん治療認定医
  • 日本胆道学会認定指導医
  • 消化器がん外科治療認定医
  • ロボット手術術者認定医
  • ロボット支援下膵体尾部切除プロクター

肝胆膵分野におけるロボット手術のメリットは?

ロボット支援下手術では、手術器具を非常に精密に操作できます。繊細な膵組織や血管周囲の操作を安全かつ正確に行えるようになります。また高解像度の3Dカメラによる拡大視効果により、膵周囲の解剖学的構造の把握が可能となり、精緻な手術が可能となります。
従来開腹で行われていた術式に、ロボット支援下手術が導入されたことで、ロボット支援下手術で得られた知見が、開腹手術にフィードバックされるというメリットもあると感じています。

ロボット手術の適応は?

当院では膵癌を含む膵腫瘍に対して、膵体尾部切除術(脾同時切除)・膵体尾部切除術(脾温存)を導入しています。

ロボット手術の今後の展望は?

ロボット技術の急速な進化により、さらなる精度向上と操作性の改善が見込まれます。さらに触覚などへのフィードバックが可能になることで、難易度の高い膵臓手術がだれでも安全に受けられるようになると考えられます。
また将来的には、地理的に離れた場所でも熟練の外科医が手術を行える遠隔手術が普及する可能性があります。これにより、医師不足が問題となっている地域でも、最先端の治療が受けられるようになり、地域間の医療格差の均てん化に貢献できる可能性があると考えています。

伊東 真哉 医師写真
呼吸器外科 部長

伊東 真哉

  • 京都大学 医学博士
  • 日本外科学会 外科専門医・指導医
  • 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
  • 厚生労働省 臨床研修指導医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・指導医
  • 日本胸部外科学会 終身認定医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本呼吸器外科学会 胸腔鏡安全技術認定
  • 肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診認定医
  • 日本緩和医療学会 緩和ケア研修会 修了
  • 麻酔科標榜医
  • ロボット手術コンソール術者認定

呼吸器外科分野におけるロボット手術のメリットは?

同じカメラを用いたモニター視の手術である胸腔鏡下手術と比べると、小さな手術創(1-3.5cm)で手術を行うことができます。高精細かつ鮮明な拡大視野をみながら、関節部の自由度が高いロボットアームを使うことによって、より正確で精度の高い手術操作が可能になります。「肺および縦隔の解剖構造がよくみえる」ことにより「狙ったところをのみ切る」ことで手術に伴う出血が少なくできる体の負担も少なく(低侵襲)できることや、比較的速やかに社会復帰が可能になる(「入院が短くなり」「休まないといけない期間が短く」)というメリットがあります。

ロボット手術の適応は?

当科では、ダヴィンチXiシステムを使用したロボット支援胸腔鏡下手術を導入しております。対象疾患は原発性肺がん、転移性肺がん、縦隔腫瘍(胸腺腫など)、胸壁膿瘍などです。

変化していく肺癌の治療

肺癌の治療は時代と共に絶えず進歩しており、良好な成績をおさめつつあります。抗がん剤/分子標的治療あるいは放射線治療を周術期(手術の前後)に組み合わせることによって、20年前には治癒が困難であった進行病期(Ⅲ・Ⅳ期)肺癌も、治癒に結びつけることが徐々に可能になりつつあります。治療指針(ガイドライン)は全世界で共通の指針でありますが、確立されたエビデンスに準拠して年単位でアップデートされています。肺癌治療を行う上で、肺癌の遺伝子診断や治療に関する知識を常に最新版にしておくことは必須であります。肺癌の遺伝子変異を踏まえて、より効果が高いと予測される薬剤(分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害薬、など)の使用にも十分に精通しておく必要があります。呼吸器外科・呼吸器内科・放射線治療科・病理診断科の間でカンファレンス等を通じて密に連携をとりながら治療方針の決定を行います。患者さんそれぞれの背景因子(年齢、併存合併症、体力・心肺機能、認知能)を十分に考慮に入れて、患者さんおよび御家族と相談しながら最適な治療方法を提案いたします。

伊藤 将彰 医師写真
泌尿器科 部長

伊藤 将彰

  • 医学博士
  • 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医
  • 日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
  • 日本内視鏡外科学会 泌尿器腹腔鏡技術認定
  • Certificate of Robotic Observationship(Hugo RAS system)
  • 緩和ケア研修会 修了
  • 厚生労働省 面接指導実施医師
  • 厚生労働省 臨床研修指導医

泌尿器科分野におけるロボット手術のメリットは?

泌尿器科の手術には骨盤の奥にある臓器を扱ったり、尿路を縫合・再建したり、太い血管を処理したりする難易度の高いものが多くあります。これらの手術は以前は創を大きくあける必要があったり、経験数の多い限られた医師・病院のみが行ったりしていました。現在手術支援ロボットのお蔭でより多くの患者さんに体への負担が少なく、安全でかつ効果の高い手術を行うことが出来るようになっています。

ロボット手術の適応は?

前立腺全摘術、腎摘除術、腎部分切除術、腎尿管摘除術、腎盂形成術です。



前立腺がんに対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術
Robot-Assisted Laparoscopic Radical Prostatectomy (RARP)

転移のない早期の前立腺がんに対する根治目的の手術です。前立腺と精嚢を摘除し、膀胱と尿道を吻合します。勃起機能を残すためには前立腺脇に通っている神経や血管を温存する必要があり、また術後の失禁を少なくするためにはなるべく括約筋を残しさらに膀胱と尿道を精密に吻合することが必要です。前立腺は骨盤の奥にあるためこれらを行うにはかなりの熟練を要しましたがロボット手術では比較的容易に行うことが出来る様になりました。



腎細胞がんに対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術
Robot-Assisted Laparoscopic Partial Nephrectomy (RAPN)

4cm 以下の小径腎細胞がんに対して行う手術で、腎細胞がんを一部正常腎実質をつけて切除し残りの正常な腎実質は温存します。本術式では腎動脈を一時的に遮断(阻血)して出血を防いだうえで腫瘍を切除し、断面からの出血を焼灼して止血したり開いてしまった尿路を縫合して閉じたりします。最後に動脈の遮断を解除して完全に止血されているか確認します。これらのすべての処置が3D画面による立体視野やロボットアームによる精密な手技で行えるのがロボット手術の強みです。



腎部分切除術の手順

腎部分切除術の手順

腎部分切除術の手順

医師からのメッセージ

手術支援ロボットの技術は今や全世界で開発が進められており、触覚の付加・最新通信技術を利用した遠隔操作・AIによるガイドなど日進月歩です。また保存してある手術動画を共有しコツや注意点を公開・議論してお互い切磋琢磨しあうことでソフト面でも日々進歩しています。がんの手術に不安はつきものですが、医師側も日々進歩し続けるこれらの新たな技術・知識を絶えず取り入れて精進していますので一緒に頑張って病気を克服しましょう。