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血液がん

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血液がんについて

血液がんは造血器悪性腫瘍と呼ばれ、血液細胞の遺伝子に異常が生じることで、血液細胞ががん化(悪性化)して異常に増加する病気です。
血液細胞は増殖スピードが速いため、血液がんは他の組織のがんに比べて一般的に古典的抗がん剤が効きやすい傾向があります。
血液細胞は大きくはリンパ系と骨髄系に分かれます。リンパ球性の血液がんは、一般に進行が速いものから順に、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫などがあります。
骨髄球性の血液がんは、一般に進行が速いものから順に、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、真性多血症、本態性血小板血症などがあります。



担当する医師

検査について

血液がんは、血液中にがん細胞が検出される場合と、リンパ節や骨髄に病気が固まっている場合があります。
血液中にがん細胞が検出されない場合でも、LDHなどの血清成分やWT1mRNAなどの遺伝子成分を血液で検査することで血液がんを発見できる場合があります。
造血の中心組織である骨髄を調べる骨髄穿刺・生検はほとんどの血液がんで大変重要です。腫瘍やリンパ節腫大が考えられる場合には、CT撮影を行ったりPET-CTやMRIなどでさらに詳しく病気の範囲を調べることも重要です。
当院では、CTが3機、MRIが3機、PET-CTが1機で稼働しており、必要に応じた迅速な読影が可能です。

手術について

血液がんで手術による切除が治療の中心になることは、初期の低悪性度悪性リンパ腫以外ではまれです。一方で、骨髄移植などの造血幹細胞移植(末しょう血幹細胞移植や臍帯血移植を含む)は抗がん剤治療では根治困難な症例に対しても、寛解や治癒が期待できる治療法です。
骨髄移植ではドナーとなった方の骨髄を、全身麻酔による手術で骨盤骨から採取します。
末しょう血幹細胞移植では、成分献血装置に似た体外血液分離装置のチューブをドナーの方の腕などにつなげることで、全身麻酔を行わずに透析室のベッドで移植細胞を採取することが可能です。再発や難治の場合に対するがん免疫療法も、専門医療機関を中心に進歩してきています。
当院では、血液細胞分離装置スペクトラ・オプティア61000(テルモ社)を用いた未梢血幹細胞採取を行って-80℃に凍結保存して移植に使用しています。今後は、血縁以外の同種移植も行っていく予定です。



バイオハザード対策用キャビネットの画像

バイオハザード対策用キャビネット

超低温フリーザーの画像

超低温フリーザー

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超低温フリーザー

薬物療法について

古典的な抗がん剤は細胞増殖の速いがんに効果を発揮するため、血液がんはその良い対象となってきました。その後は分子標的薬がたくさん開発され、よりがん細胞に集中した治療を行えるようになり、薬物治療が有効ながんの範囲も広がってきています。
また、免疫調節薬は、がんに対する免疫を増強する薬剤で、古典的な抗がん剤や分子標的薬が効かなくなった血液がんに対しても効果が認められる場合が増えてきています。

当院の血液内科専門病棟は、病棟全体が無菌管理となっており、充分な感染症予防を行いながら抗がん剤治療を行っています。
また、当科では京都大学附属病院血液内科と緊密な情報交換を行ない、免疫調節薬などの適応可能症例を京都大学附属病院に紹介しています。

放射線治療について

血液がんにおける放射線治療には、腫瘍部に範囲を絞って行う局所照射と、骨髄移植などの造血幹細胞移植に併用して行う全身放射線照射があります。血液がんの種類によって薬物と放射線の効果はそれぞれ違います。
当院では、トゥルービームSTX照射装置を備えており、X線画像に合致させて精度の高い照射治療を行っています。適応に応じた局所への放射線治療はもちろん、造血幹細胞移植時の全身放射線照射も行なっています。

診療実績

年間外来化学療法症例数

2021年 2022年 2023年 2024年
悪性リンパ腫 111 100 99 242
骨髄異形成症候群 223 287 295 156
急性骨髄性白血病 19 48 17 86
多発性骨髄腫 87 69 120 70
急性リンパ性白血病 19 4 0 0


年間入院化学療法症例数

2021年 2022年 2023年 2024年
悪性リンパ腫(非ホジキン) 151 198 188 218
多発性骨髄腫 11 5 8 21
急性骨髄性白血病 27 17 18 19
悪性リンパ腫(ホジキン) 6 33 24 17
骨髄異形成症候群 17 23 25 18
急性リンパ性白血病 2 1 11 12
急性前骨髄性白血病 12 6 6 6
成人T細胞白血病リンパ腫 2 1 0 6
再生不良性貧血 0 2 1 4


年間造血幹細胞移植症例数

2021年 2022年 2023年 2024年
自家末梢血幹細胞移植 2 5 2 5
血縁同種 末梢血幹細胞移植 0 0 0 6
血縁同種骨髄移植 0 0 0 1

がん登録件数