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胆道がん(肝内胆管、肝外胆管、胆のう、十二指腸乳頭)

胆道がん(肝内胆管、肝外胆管、胆のう、十二指腸乳頭)について

肝臓で作られる消化液が胆汁で、主に脂肪成分の消化と吸収に重要な役割を果たします。
肝臓から十二指腸までの胆汁の通り道を総称して「胆道」といい、胆道に発生したがんのことを胆道がんと呼びます。胆道は、肝内胆管、肝外胆管、胆のう、十二指腸乳頭に分けられます。さらに肝外胆管は肝臓に近い肝門部領域胆管と、膵臓に近い遠位胆管に分けられます。
胆道がんは、胆道のどの場所に発生するかで呼び方が変わってきます。胆道がんが発生すると、胆汁の流れが妨げられるために、黄疸が発生することがあります。胆道がんは早期発見が難しく、黄疸といった症状が現れるのが遅いために、診断時には進行していることが多くなっています。



担当する医師

検査について

1.血液検査:腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)

胆道がんで高くなることがある腫瘍マーカーです。がんが進行すると異常値を示すことが多くなります。定期的な測定で、がんの勢いを推測することが可能となります。



2.画像検査:CT/MRI/PET

CTやMRIで胆道がんの発生部位を特定します。また頻度の高い肝臓への転移の有無を調べるために、肝臓MRI検査を行います。さらにPETによる全身検索で遠隔転移の状況を評価する場合もあります。



3.組織検査

内視鏡的に十二指腸から逆行性に胆道を造影し、胆道内のがんの一部組織を採取します。
病理検査で組織内にがん細胞があるかを検査して診断します。



4.内視鏡検査

胆嚢・胆道がんの診断にはエコー検査、CT検査 MRI検査などの放射線画像検査に加えて、内視鏡を用いた検査が重要な役割を果たします。
一つは内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERGP)検査で、十二指腸乳頭部から胆汁の流れ道の造影を行う検査です。その際に組織や細胞の検査を行ったり、胆管内にステントを留置して黄疸の治療を行います。
もう一つは超音波内視鏡(EUS)検査で、先端にエコー装置を備えた内視鏡を用いて、胃や十二指腸から病変の観察を行います。必要により先端から針を出し て組織や細胞の検査を行います。
前述のERCP検査が難しい場合には、EUSを用いて消化管に胆汁の流れ道を作り、黄疸の治療を行うことも可能です。

手術について

手術は胆道がんの治療において主要な選択肢の一つですが、病気の進行度や発生部位によって手術方法が異なってきます。
胆道がんの手術の種類には、以下のものがあります。



1.肝切除術

肝内胆管や肝門部領域胆管に発生したがんに対して行われる術式です。病気の広がりが肝外胆管に及んでいる場合には、肝外胆管切除を追加で行うこともあります。



2.肝外胆管切除術

肝外胆管に発生したがんに対して行われる術式です。がんが早期で、他の臓器に広がっていない場合に適応となります。



3.膵頭十二指腸切除術

遠位胆管や十二指腸乳頭に発生したがんに対して行われる術式です。膵頭部・十二指腸・胆嚢・肝外胆管を一緒に切除します。



4.胆のう摘出術

胆のうに発生したがんに対して行われる術式です。早期に発見された場合にはこの術式で治療が完了することもあります。胆のうがんが周囲臓器(肝臓や胆管)に広がっている場合には、肝切除や肝外胆管切除が追加で必要になることがあります。

薬物療法について

外科的切除が難しい胆道がんに対する抗がん剤治療は、がんを完治させるほどの効果は残念ながらまだありませんが、治療後の生存期間は年々長くなっており、やがては長期間にわたってがんの進行を抑えることが可能になることが期待されます。また、抗がん剤治療が著効した場合に、その時点で外科的切除が考慮される場合はあります。

胆道がん治療後の定期検査

胆道がんの手術を受けたあとは定期検査のための外来通院が必要になります。肉眼的にがんの取り残しがない根治的な手術であっても、術後経過中に再発が起こる場合があり、再発を早期に発見できれば再発に対する治療を早期に開始できると考えています。
手術後の状態によって、補助療法(内服の抗がん剤治療)を6か月間行うことがあります。通常、血液検査に加えてCTやMRI検査を定期的に行います。外来通院の頻度は、3か月から6か月に一回程度の受診が一般的です。手術後5年間は外来通院していただくことが望ましいです。

診療実績

内科領域診療実績

2020 2021 2022 2023 2024
上部内視鏡検査 6,607 7,084 7,027 7,283 8,088
下部内視鏡検査 2,701 2,604 2,578 2,892 3,056
内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)、粘膜切除術(EMR) 828 883 915 1,062 1,202
ポリペクトミー(上部・下部) 382 624 727 861 941
EMR(上部) 0 3 1 7 6
EMR(下部) 446 256 187 194 255
内視鏡的消化管早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術(ESD) 93 111 115 120 120
食道 8 15 13 7 9
38 43 46 53 63
十二指腸 1 1 2 5 2
大腸 46 52 54 55 46
経口内視鏡的筋層切開術(POEM) 0 0 3 0 0
腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除術(LECS) 4 4 1 0 0
内視鏡的消化管止血術 106 173 215 164 195
上部 74 119 147 82 128
下部 32 54 68 82 67
内視鏡的食道静脈瘤結紮術(EVL) 24 27 27 16 24
内視鏡的食道・胃静脈瘤硬化療法(EIS) 6 6 1 2 0
内視鏡的消化管バルーン拡張術(EBD) 41 48 33 38 33
内視鏡的消化管異物除去術 20 29 25 28 34
内視鏡的消化管ステント留置術 26 22 24 50 40
食道 5 4 0 5 3
胃・十二指腸 2 5 4 11 12
大腸 19 13 20 34 25
胃瘻関連処置 80 79 86 108 91
経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG造設) 56 57 60 64 52
胃瘻交換術 24 22 26 44 39
内視鏡的逆行性胆膵管造影(ERCP) 218 212 317 348 323
小腸内視鏡下ERCP(DB-ERCP) 3 4 5 6 14
内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST) 113 82 118 171 172
内視鏡的胆管結石除去術 85 93 104 154 125
内視鏡的胆管ドレナージ術(ERBD、ENBD、ENGBD) 98 87 175 140 102
内視鏡的胆管ステント留置術 10 16 14 19 30
内視鏡的膵管ステント留置術 5 3 8 15 10
胆道鏡検査(POCS) 0 0 1 0 4
膵管鏡検査(POPS) 0 0 0 0 0
超音波内視鏡検査(EUS) 49 76 83 272 320
超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA) 18 16 23 59 81
超音波内視鏡下嚢胞ドレナージ術関連 1 6 3 2 10
超音波内視鏡下胆道ドレナージ術関連 5 3 3 7 12
経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTCD) 10 5 12 2 8
経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTGBD)、穿刺吸引術(PTGBA) 13 9 8 10 3
経皮経肝膿瘍ドレナージ術(PTAD) 0 0 0 0 7
カプセル内視鏡検査 1 8 4 1 3
小腸ダブルバルーン内視鏡検査 11 3 4 2 6
内視鏡的イレウス管留置術 11 8 13 17 27
上部 9 7 12 13 25
下部 2 1 1 4 2
超音波下肝生検(肝腫瘍生検含む) 8 32 19 14 13
ラジオ波焼灼療法(RFA) 1 9 2 0 1
肝動脈塞栓術(TACE) 0 0 0 0 0




外科領域診療実績

手術症例数 2021年 2022年 2023年
全手術総数 1,101 1,167 1,033
鏡視下手術 516 587 545
全身麻酔手術 974 1,061 941
緊急手術 237 280 228

肝胆膵手術症例数 2021年 2022年 2023年 2024年
全手術総数 43 37 54 78
開腹 33 25 36 52
低侵襲手術 鏡視下 10 12 12 19
内視鏡支援手術ロボット - - 6 7

※胆嚢摘出術、腹腔鏡下胆嚢摘出術は除く

がん登録件数