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肺がん

肺がんについて

肺は、体に酸素を取り入れ、体中から血液を介して運ばれた二酸化炭素を排出する重要な役割を担っています。
肺がんは、その役割を担う気管支や肺胞細胞がタバコなどの様々な要因でがん化したものです。腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの4つに大きく分類され、種類(組織型)によって治療法や治療薬が異なります。



担当する医師

検査について

1. 腫瘍マーカー

血液検査で測定が可能ながんによるたんぱく質などの物質です。肺がんの診断の補助や、治療効果、再発の有無を判定するのに用います。



2. 画像検査

胸部X線、胸腹部CT検査で病変の大きさや広がりを評価、PET検査や頭部MRI検査で全身臓器への転移の有無を正確に評価し、病期(進行の程度)を判定します。



3. 組織検査

気管支鏡検査

直径3-6mmの細い内視鏡を口や鼻から挿入して気管支の中を観察し、X線透視や超音波で腫瘍の位置を確認して組織を採取します。鎮静剤や鎮痛剤の注射を苦痛がないように適宜使用します。おもな合併症として気管支からの出血や肺の損傷による空気漏れ(気胸)、発熱などがあります。



経皮的肺生検

気管支鏡検査では採取が困難な場合や診断がつかない場合に行います。超音波やCTで位置を確認しながら局所麻酔下に体表から細い針を刺して組織を採取します。おもな合併症として出血や肺の損傷による空気漏れ(気胸)などがあり、気胸の発生頻度が気管支鏡より高くなります。


胸腔鏡検査

局所麻酔下に胸部を小さく切開し、内視鏡を胸腔内に挿入し胸腔内に転移した腫瘍の組織採取を行います。



4. バイオマーカー検査(治療効果の指標となる検査)

ドライバー遺伝子検査

がんの発生や増殖に関わる遺伝子(ドライバー遺伝子)に変異があるかを組織検査で採取したがん細胞で調べます。ドライバー遺伝子変異があれば、そのドライバー遺伝子を標的とした分子標的治療薬が有効です。


PD-L1検査

がんによる免疫回避に関わるがん表面のタンパク質です。発現する割合が免疫チェックポイント阻害薬の効果に影響します。組織検査で採取したがん細胞で発現率を調べます。

手術について

肺がんの手術には、1. 治療目的の肺切除手術、2. 組織をとる目的の手術(生検)があります。



1. 治療目的の肺切除手術

根治(がんの治癒)を目指して行う手術です。
病巣のある部分の肺葉切除や区域切除などが一般的に行われます。より進行したがん(Ⅲ期以上)では、周囲臓器を含めた合併切除が行われることもあります。腫瘍縮小と転移の制御を目的にして、術前治療として抗がん剤(分子標的薬剤)・免疫チェックポイント阻害薬・放射線などと手術を組み合わせて行うこともあります。当科では、開胸手術、胸腔鏡手術、ロボット支援下手術といずれにも対応しております。



2. 組織をとる目的の手術(生検)

肺がんの遺伝子変異(ドライバー変異、薬剤耐性遺伝子)を確認する必要がある場合などに行われます。
CTガイド下生検や気管支鏡下の生検では到達困難な場所(例えば、胸腔内のより深部にある気管周囲や心臓大血管に近い部位)の腫瘍やリンパ節などを摘出する際に、全身麻酔下に胸腔鏡や縦隔鏡を使ってより大きな組織を採取することが可能になります。

薬物療法について

手術や放射線の適応がない進行期の場合に進行を遅らせる目的で行います。1. 細胞障害性抗がん薬、2. 分子標的治療薬、3. 免疫チェックポイント阻害薬(免疫療法)の3種類に大きく分類されます。それぞれの患者さんのがんの種類や年齢、健康状態、がんの遺伝子変異の有無やPD-L1タンパクの発現率によって患者さん毎に最も適した薬剤を選択し、単剤治療あるいはそれらの併用療法を行います。それぞれに特徴的な副作用がありますが、免疫療法は免疫関連有害事象と呼ばれる特有の多種多様な副作用があり、多くの科で連携して病院全体で副作用対策に取り組んでいます。



放射線治療について

完治させる目的で行う場合と痛みなどの症状をやわらげることを目標に行う場合があります。
完治目的の場合は、リンパ節転移までの進行で手術が適応とならない患者さんに化学療法との併用で照射を行います。効果があれば、より高い完治率を目指して照射終了後に免疫療法による維持治療を1年間行います。
早期肺がんでも全身状態や年齢から手術ができない、あるいはご希望されない場合には完治目的の放射線単独治療(定位放射線治療)を行います。
また、疼痛緩和や、止血目的、気管・気管支の閉塞予防のための緩和的な放射線治療も行われます。



診療実績

内科領域診療実績

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
気管支鏡 208 225 335 253 248 284
胸腔鏡 0 5 9 6 14 6
EBUS-TBNA 13 32 37 18 29 26
EWS 3 0 1 0 0 2
ステント留置 0 2 2 0 0 1


2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
化学療法件数 1,144 1,373 1,314 1,139 1,024 1,318


外科領域診療実績

手術症例数 2021年 2022年 2023年
全手術総数 1,101 1,167 1,033
鏡視下手術 516 587 545
全身麻酔手術 974 1,061 941
緊急手術 237 280 228


呼吸器外科手術 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
全身麻酔下手術総数 68 67 88 106 112
鏡視下手術 うち胸腔鏡下手術 62 67 87 102 100
内視鏡支援手術ロボット 0 0 0 0 0
胸部悪性腫瘍 31 42 50 65 56
原発性肺癌 28 33 43 49 45
転移性肺腫瘍 3 6 5 15 9
縦隔腫瘍 1 4 3 2 9
うち胸腺腫 0 3 2 1 2

がん登録件数