診療科の特色
原発性肺癌・転移性肺腫瘍・縦隔腫瘍など胸部腫瘍の手術をはじめとする外科治療を行っております。幅広い呼吸器疾患に対して最適な治療方法を選択するために、各種の検査(画像診断、気管支鏡、縦隔鏡、胸腔鏡など)を駆使して診療に当たっております。自然気胸や胸膜炎・膿胸の胸腔ドレナージ治療についても積極的に行っておりますが、患者さんの安全には十分配慮したうえで確実に施行できております。進行肺がんは依然として完治が困難な病気ですが、肺がん組織の遺伝子などを調べたうえで効果が期待できる新規薬剤(分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害薬など)を選択できるようになり、長期予後の改善につなげられるようになりました。呼吸器内科や放射線治療科と連携して、化学療法(抗がん剤)・放射線治療を含めた集学的治療を行っております。入院治療においては、医療の質の向上と入院期間の短縮につとめております。京都府立医科大学呼吸器外科教室(井上匡美教授)と連携しながら診療に従事しております。
診療内容・方針
呼吸器疾患に関しましては、呼吸器内科/理学療法部門/放射線診断科/放射線治療科/病理診断科と合同で、診断から治療に至るまでチームとして密に連携し一貫性を持って診療にあたっております。対象疾患は、原発性肺癌・転移性肺腫瘍・縦隔腫瘍(胸腺腫など)・自然気胸・血気胸・膿胸などです。良質な医療を提供することを心がけて、患者さんには安心して治療を受けて頂けるように配慮しております。肺がん手術(肺葉切除)においては患者さんに負担の少ない低侵襲な胸腔鏡手術を基本とし、合併症なく安全かつ確実な手術を心がけています。CTで偶然見つかった「肺がんの疑い」陰影については、経時変化(濃度上昇や形状の変化)を判定する目的に長期間にわたり観察必要な場合もあります。悪性度が比較的低い肺腺癌のケースでは、時に数年-10年以上かけて発育・浸潤・転移するケースもあります。肺腺癌の特徴を備えた異常影(すりガラス+充実性陰影など)については、進行(転移)する前の段階で治癒がえられるように確定診断(病理)と治療を兼ねた内視鏡(胸腔鏡)手術も行っております。周術期の合併症予防と早期回復を目的とした呼吸リハビリプログラムを手術前の外来の段階から積極的に導入しています。手術を受けられた患者さんのほとんどが合併症なくスムーズに退院が出来、順調に経過すれば手術後3-5日程度で退院が可能になります。自然気胸の症例では携帯型のドレナージキットの装着によって外来での経過観察も可能になっております。ドレナージのみでは完治しないケースもあり、肺のう胞が明らかで空気漏れの持続するケースなどでは積極的に胸腔鏡手術の適応としています。10代の若年の患者さんも少なくないのですが、気胸再発に伴う頻回の外来受診や入院などで就学/旅行/受験/就業等の重要なライフイベントに影響し得ます。御本人や御家族と相談した上で時期を選んで手術治療を行うこともあります。通常2つの小さな傷で胸腔鏡下に手術を行っており、肺のう胞を切除した部 担当医一覧位には吸収性のシートをのせて将来の気胸再発を防ぐ処置を追加しています。術後は2日程度で退院が可能になります。
取り扱う主な疾患
自然気胸・血気胸・膿胸・原発性肺がん・転移性肺がん・縦隔腫瘍(胸腺腫など)などです。
地域医療への連携
原発性肺癌・縦隔腫瘍・自然気胸などの手術を中心とする呼吸器外科の専門診療を行っております。呼吸器・胸部疾患のプロフェッショナルとして習得した知識や技能を地域社会に還元することを常に念頭に置き、安全で質の高い医療を提供するよう努力致します。特に昨今は医学の進歩は急速であり、肺癌の治療も大きく変わろうとしております。知識のアップデートを欠かさず行い、呼吸器内科、放射腺科、病理診断科をはじめとする他科とのカンファレンスを定期的に行い、患者さんと御家族と相談の上でよりよい治療を提供したいと考えております。患者さんはもちろん紹介頂く先生方にも満足して頂けるよう、さらに密な連携を欠かさず努力していきたいと思います。今後とも宜しくお願い申し上げます。
診療実績
指標 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
呼吸器外科手術件総数 | 84 | 107 | 113 |
原発性肺癌 | 46 | 48 | 47 |
転移性肺癌 | 5 | 16 | 11 |
気胸 | 27 | 31 | 30 |
縦隔腫瘍 | 0 | 2 | 4 |
胸部外傷 | 0 | 2 | 2 |
その他 | 0 | 6 | 19 |
輸血(手術当日) | 0 | 6 | 8 |
輸血(術後1週間) | 0 | 1 | 3 |
術後30日以内の再手術 | 0 | 2 | 1 |
術中死(術後30日以内) | 2 | 0 | 0 |
在院死(術後31日以降) | 0 | 0 | 0 |
医師紹介
氏名 | 役職 | 専門医・認定医・その他講習修了 |
---|---|---|
伊東 真哉 | 部長 | 京都大学 医学博士 日本外科学会 外科専門医・指導医 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医 厚生労働省 臨床研修指導医 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・指導医 日本胸部外科学会 終身認定医 日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本呼吸器外科学会 胸腔鏡安全技術認定 肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診認定医 日本緩和医療学会 緩和ケア研修会 修了 麻酔科標榜医 ロボット手術コンソール術者認定 |
土橋 亮太 | 医員 | 日本外科学会 外科専門医 ロボット手術コンソール術者認定 |
井上 匡美 | 非常勤 | 京都府立医科大学医学部附属病院 副院長 京都府立医科大学医学部附属病院 呼吸器外科教授 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科指導医 日本外科学会 外科指導医 ロボット手術コンソール術者認定 |
下村 雅律 | 非常勤 | 京都府立医科大学 呼吸器外科教授 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医 日本外科学会 外科指導医 ロボット手術コンソール術者認定 |
常塚 啓彰 | 非常勤 | 市立大津市民病院 呼吸器外科診療部長 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医 日本外科学会 外科専門医 ロボット手術コンソール術者認定 |
古谷 竜男 | 非常勤 | 京都府立医科大学派遣 呼吸器外科専門医 外科専門医 ロボット手術助手認定 |
内堀 篤樹 | 非常勤 | 京都府立医科大学派遣 外科専門医 |