診療科の特色
産科
地域周産期母子医療センター
当院は新生児センター(NICU)を有し、周産期医療を担う地域周産期母子センターに指定されています。
- 在胎28週、推定体重1000g以上の早産管理
- 救急救命センター、心臓センター併設の元、母体急変時の救命目的の救急母体搬送受け入れ
- 他科との共同診療による合併症妊娠管理
出生前診断
出生前診断とは妊娠中に行われる胎児先天性疾患の有無を調べる検査です。通常の妊婦健診で行われている超音波検査も広い意味での出生前診断になります。当院では出生前診断の中でも胎児の染色体異常や遺伝性疾患などをご心配されておられる患者様を対象とした検査を行なっています。
おなかの赤ちゃんのご両親に対して、赤ちゃんがどの程度遺伝学的異常の可能性があるのかや、当院で行なっている遺伝学的検査の説明を行い、検査を受けるかどうかを決めていただいた上で、検査を受けていただいています。
先天性疾患の原因とその種類について(出典:周産期遺伝カウンセリングマニュアル)
当院で行なっている出生前診断
■非確定検査
・NIPT:非侵襲性出生前遺伝学的検査(noninvasive prenatal testing)
妊娠10週0日以降妊娠15週6日までの妊婦さんから10-20mlの血液を採取し、血液中に浮遊しているcfDNA(染色体が細かく分解されたもので、約10%は胎児由来)を分析して結果を出します。結果は「陽性」、「陰性」、「判定保留」と報告されます。「陽性」は赤ちゃんがその疾患に罹患している可能性が高いことを意味します。「陽性」の場合には羊水細胞を用いた確定検査が必要になります。「判定保留」の場合にはその後の対応について患者様と相談して決めさせていただきます。
■確定検査
・羊水検査
妊娠16週以降、超音波ガイド下に妊娠子宮の羊水ポケットに針を刺し、羊水を20-40ml程度採取します。採取した羊水中の胎児由来の細胞の染色体を解析する検査です。当院での解析は通常FISH法とG-band法で行なっていて、染色体の数、構造に関して解析することができます。日帰り入院による検査です。
■胎児超音波検査(日本超音波医学会認定専門医 青木昭和医師外来予約枠内にて行なっています)
胎児の形態異常を伴う疾患に関しては専門医による詳細な胎児超音波スクリーニング検査を当院に通院されておられる妊婦様全員に行っており、致死的胎児疾患の除外や染色体疾患のリスク評価を行っています。
↓動脈管・合流部・4D
↓心臓の多断面同時表示(TUIカラー)
周産期遺伝カウンセリング外来日時
毎週 火曜日、金曜日 10:30、12:30、14:30(1回30分から60分程度)
■担当
臨床遺伝専門医 小杉眞司
臨床遺伝専門医 産婦人科専門医 横田浩美
認定遺伝カウンセラー 田口 育 宮田海香子
予約の方法
■当院で妊婦健診および分娩予定の患者様
主治医から予約
■他院で妊婦健診および分娩予定の患者様
通院中の病院、診療所を通じて診療検査依頼用紙をご利用いただき、地域医療連携室を通じてTEL/FAX予約をお願いします。
■地域医療連携室
TEL:0774-25-2871
FAX:0774-25-2827
患者様にはNIPT予約前確認事項をよくお読みいただいたのちご予約いただくようお願い申し上げます。
ご予約前にはNIPTを希望される患者様へをよくお読みください。
費用について
※受診料、検査費用はすべて自費診療になります。
■遺伝カウンセリング費用
1回 :8000円(税別)
■検査費用
NIPT :140,000円(税別、NIPT陽性の場合には羊水検査費用も含まれます)
羊水検査:120,000円(税別)
NIPTのフローチャート
婦人科
悪性腫瘍
検診事業により子宮や卵巣などの婦人科臓器の悪性腫瘍の早期発見に努めております。発見された悪性腫瘍に対して、日本産科婦人科学会のガイドラインに則り、手術・最新式放射線治療機器を用いた放射線治療・化学療法(遺伝子変異をふまえた、分子標的薬治療を含む)などを組み合わせ、集学的標準治療を行っております。さらに高度な先進医療を要する場合には、対応可能な病院にご紹介させていただきます。
良性腫瘍
子宮筋腫や卵巣嚢腫などの良性腫瘍は、できる限り患者様への低侵襲手術として腹腔鏡下手術で対応しています。過多月経を有する子宮内膜ポリープなどは、子宮鏡下手術も行っています。
骨盤臓器脱
積極的な手術加療を行い、高齢女性の生活の質の改善に努めております。
女性健康医学
思春期・更年期等の相談・対応も、積極的に行っています。
不妊治療
一般不妊治療を行っております。体外受精を含む高度生殖医療が必要な方には専門病院にご紹介させていただきます。
診療実績
分娩件数
指標 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|
経腟分娩 | 247 | 228 | 269 |
帝王切開分娩 | 133 | 112 | 119 |
合計 | 380 | 340 | 388 |
入院疾病統計
指標 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|
子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(開腹、腹腔鏡) | 36 | 84 | 111 | |
腹腔鏡下膣式子宮全摘術 | - | 20 | 49 | |
子宮頸管ポリープ切除術 | 32 | 38 | 45 | |
悪性腫瘍手術 | - | 17 | 28 | |
子宮附属器癒着剥離術(両側)(開腹、腹腔鏡) | 0 | 12 | 23 | |
異所性妊娠手術(開腹、腹腔鏡) | - | 8 | 17 | |
子宮全摘術 | 20 | 24 | 16 | |
子宮頸部(膣部)切除術 | 18 | 22 | 15 | |
腹腔鏡下子宮内膜症病巣除去術 | 0 | 9 | 9 | |
流産手術(妊娠11週までの場合) | 8 | 9 | 9 | |
子宮内膜掻爬術 | 10 | 9 | 8 | |
子宮脱手術(腟壁形成手術及び子宮全摘術(腟式、腹式)) | 9 | - | 8 | |
大網切除術 | 0 | 15 | 7 | |
子宮筋腫摘出(核出)術(腟式、腹式) | - | 7 | 7 | |
腹腔鏡下仙骨腟固定術 | 0 | 6 | 6 | |
子宮鏡下子宮筋腫摘出術(電解質溶液利用のもの) | 0 | 0 | 6 | |
腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 | - | 9 | - | |
リンパ節群郭清術(骨盤) | 0 | 10 | - | |
卵巣部分切除術(膣式を含む)(開腹、腹腔鏡) | 7 | - | 0 | |
子宮双手圧迫術(大動脈圧迫術を含む) | 0 | 6 | 0 |
医師紹介
氏名 | 役職 | 専門医・認定医・その他講習修了 |
---|---|---|
青木 昭和 | 部長 | 島根大学 医学博士 島根大学 医学部臨床教授 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医 日本超音波医学会 認定専門医・指導医 日本周産期・新生児医学会 周産期専門医(母胎・胎児) 日本周産期・新生児医学会(周産期) 臨床研修指導医 母体保護法指定医 NCPRインストラクター 日本胎児心臓病学会 評議員 |
河邊 公志 | 部長 | 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 母体保護法 指定医 |
高原 得栄 | 部長 | 医学博士 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 母体保護法 指定医 |
冨田 純子 | 副部長 | 日本産婦人科学会 産婦人科専門医 日本周産期・新生児医学会 周産期専門医・指導医(母胎・胎児) 厚生労働省 臨床研修指導医 緩和ケア研修会 修了 |
横田 浩美 | 医長 | 熊本大学 医学博士 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医 臨床遺伝専門医 厚生労働省 臨床研修指導医 J-CIMELS ベーシックコース認定 NCPRインストラクター 母体保護法 指定医 緩和ケア講習会 修了 災害医療トリアージ訓練研修 修了 |
岩田 隆一 | 医員 | 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 |
高田 秀一 | 顧問 | 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 母体保護法 指定医 |