診療科の特色
救急病院であるため骨折などの外傷の症例が多くを占めていますが、脊椎や関節などの変性疾患の治療も行っています。当院は救命救急センターでもあるため、脊髄損傷や骨盤骨折や多発外傷など重度の外傷患者の緊急手術により定期の手術が遅延する場合があります。
この地域において急性期の治療を担当しており、入院のほとんどは手術を要する患者様となっています。急性期の治療後はリハビリ目的にて通常術後約2週間で回復期リハビリ病棟へ転棟もしくは転院となります。
常勤医師数は2022年6月現在7名で日本整形外科学会認定の指導医師数は3名です。緊急手術に備え24時間365日2名の整形外科医が待機しています。
一般外来は平日のみです。患者数多数のため、受付時間が午前7時30分から9時30分までとなっています。初診は医院や病院から地域連携室を介しての予約された紹介患者様が沢山おられます。診断と治療方針が決まれば、希望される診療所に逆紹介させていただく場合が多い状況です。
また、大学病院から教授や准教授らを招いて非常勤医師による脊椎、肩、肘、スポーツ、手などの専門外来も行っています。
取り扱う主な疾患
四肢や脊椎や骨盤の外傷、四肢や脊椎の変性疾患や感染症、良性腫瘍、スポーツ傷害、リウマチ疾患など
取り扱う主な検査
血液検査、レントゲン、CT、MRI,骨シンチ、骨塩定量(外注)
施行可能な主な手術と特殊な治療
脊椎手術
主に脊椎外傷、脊髄損傷、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、腰椎椎間板ヘルニア、靭帯骨化症などの手術をおこなっています。
診断
理学所見、レントゲン、CT、MRI検査や適宜神経根ブロックなども行い正確な部位診断に努めています。
安全面
神経徐圧の際は適宜顕微鏡視下で行います。さらに疾患により術中電気生理学的検査を使用し、術中の神経麻痺を回避するよう努めています。
低侵襲
症例により小切開で椎弓根スクリューを挿入したり、棘突起縦割により後方徐圧を行い、腰背筋群の損傷を少なくするよう努めています。
人工股関節置換術
変形性股関節症、関節リウマチ、大腿骨頭壊死などに対し人工股関節置換術を行っています。術翌日より全荷重にて離床訓練となります。
安全対策として入院当日と術翌日と術後1、2週間に下肢静脈血管エコー検査を行なっています。深部静脈血栓の早期発見と早期治療行い、肺塞栓による死亡(これまで0.1%の発生率といわれていた)という無惨な合併症を未然に防ぐ努力を行っています。
また脚長差の調整や人工関節設置位置などの手術精度を高めるため、特殊な骨盤ガイドを使用しています。
人工膝関節置換術
変形性膝関節症、関節リウマチ、骨壊死などに対し人工膝関節置換を行なっています。術翌日より全荷重にて離床訓練となります。
安全対策としては上記の人工股関節と同様です。
膝関節
半月板損傷に対しては可能な限り鏡視下縫合術を第1選択としています。
軟骨損傷に対しては症例によりマイクロフラクチャー法により軟骨再生を促したり、自家骨軟骨柱移植術を施行しています。
初期や進行期の変形性膝関節症に対しては適応があれば矯正骨切り術を施行しています。
前十字靱帯損傷に対しては、鏡視下靭帯再建術を施行します。移植腱は骨付き膝蓋腱を第一選択としています。術後2週より部分荷重歩行訓練を開始し4週で全荷重歩行としています。
肩関節
腱板断裂、肩峰下インピジメント、肩関節脱臼、肩関節拘縮などに対して鏡視下手術を施行しています。また、高齢者の変形性肩関節症や広範囲な肩腱板損傷や骨折後の続発症に対して適応があれば、2014年に本邦に認可されたリバース型人工肩関節置換術を施行しています。
四肢骨盤骨折
骨接合に必要な髄内釘やプレートや裸子などを多種類常備することで、早期の手術施行を可能にし早期にリハビリを開始するよう努めています。
下肢深部静脈血栓症のリスクに応じて適宜下肢静脈血管エコーを行い、深部静脈血栓の早期発見と早期治療に努め、突然死の原因となる肺梗塞予防に努めています。
四肢開放性骨折に対しては創外固定器や豊富なインプラントを常備することで良好な緊急手術が行える環境を整備しております。
重度の粉砕骨折、骨欠損、皮膚欠損、血管損傷、神経損傷を伴った重篤な外傷に対しては血管の修復術や神経縫合や神経移植術やリング式の創外固定による脚延長術や血管柄付骨移植術や皮弁形成術などを施行します。
骨盤骨折や多発外傷などによるショック状態の患者様に対しては他科の医師と協力しハイブリッドER(CTと血管造影が施行できる救急外来に設置された手術室)にて救命処置を行います。
手の外科手術
ばね指や手根管症候群に対しては通院で手術を施行しています。
感染症
化膿性関節炎、骨髄炎、壊死性筋膜炎、ガス壊疽など重篤な感染症に対しては早期にCTやMRI検査を施行し早期の診断治療を行います。
高気圧酸素療法
京都府下において高気圧酸素療法が行える施設はごく少数であります。
脊髄損傷や骨髄炎やガス壊疽やコンパートメント症候群や重篤な開放骨折などに有用です。
放射線治療
転移性骨腫瘍に対し多くの場合有用で放射線治療の専門医師が行います。
状況により先に当科にて手術を施行してから行うこともあります。
地域医療連携
慢性疾患である循環器疾患は、ときに急性増悪や急変をきたすことがありますが、地域の皆様が安心して生活できるよう、専任医師・コメディカルが24時間365日「院内」に常駐していて、循環器疾患に即応できる体制を敷いています。地域の先生方による日常管理と当センターの診療体制を両輪として、循環器疾患の予防・治療に取り組みたいと考えています。
診療実績
指標 | 2023年 | |
---|---|---|
脊椎 | 頚椎外傷変性疾患 | 30 |
腰椎変性疾患 | 26 | |
胸腰椎外傷感染症など | 39 | |
合計 | 95 | |
人工関節 | 膝関節 | 6 |
股関節 | 14 | |
肩関節 | 11 | |
合計 | 97 | |
関節鏡 | 肩(小児を含む) | 23 |
膝 | 20 | |
その他 | 1 | |
合計 | 44 | |
手の外科(骨折以外) | 50 | |
骨折 | 上肢(小児を含む) | 242 |
下肢(小児を含む) | 270 | |
骨盤 | 22 | |
合計 | 534 | |
その他の外傷 | 上肢 | 10 |
下肢 | 17 | |
合計 | 27 | |
抜釘(小児を含む) | 99 | |
腫瘍 | 3 | |
その他(皮弁、切断、感染症など) | 53 | |
総手術件数 | 1,002 |
医師紹介
氏名 | 役職 | 専門医・認定医・その他講習修了 |
---|---|---|
徳山 良之 | 副院長 | 日本整形外科学会 整形外科専門医・指導医 日本整形外科学会 指導医講習会 修了 日本整形外科学会 脊椎脊髄病医・運動器リハビリテーション医 日本脊椎脊髄病学会 指導医 日本スポーツ協会 公認スポーツ医 厚生労働省 臨床研修指導医 緩和ケア研修会 修了 |
山野 健太郎 | 部長 | 日本整形外科学会 整形外科専門医・指導医 日本整形外科学会 指導医講習会 修了 |
新井 学 | 副部長 | 日本整形外科学会 整形外科専門医・指導医 日本整形外科学会 指導医講習会 修了 日本スポーツ協会 公認スポーツ医 |
久山 陽一郎 | 医長 | 日本整形外科学会 整形外科専門医 |
伊藤 静 | 医員 | 整形外科専門研修プログラム 専攻医 日本救急医学会 救急科専門医 ICLSディレクター JATECインストラクター 厚生労働省 臨床研修指導医 |
戸口田 究也 | 医員 | 整形外科専門研修プログラム 専攻医 |
松居 孝一 | 顧問 | 日本整形外科学会 整形外科専門医 日本リハビリテーション医学会 認定臨床医 日本整形外科学会 スポーツ医 日本整形外科学会 リウマチ医 日本整形外科学会 運動器リハビリテーション医 日本整形外科学会 脊椎脊髄病医 日本医師会 認定健康スポーツ医 小児運動器疾患指導管理医 回復期リハビリテーション病棟専従医師 急性期病棟におけるリハビリテーション医師 |
今井 晋二 | 非常勤 | 滋賀医科大学医学部附属病院 副院長 滋賀医科大学 整形外科学講座 教授 日本整形外科学会(整形外科専門医) 日本リハビリテーション医学会(リハビリテーション科専門医・指導医) |
森 幹士 | 非常勤 | 滋賀医科大学 整形外科学講座 准教授 日本整形外科学会(整形外科専門医・認定リウマチ医・認定運動器リハビリテーション医・認定脊椎脊髄病医) 日本リウマチ学会(リウマチ専門医) 日本脊椎脊髄病学会(脊椎脊髄外科指導医) 日本リウマチ財団(登録医) 日本リハビリテーション医学会(リハビリテーション科専門医) |
永井 宏和 | 非常勤 | 日本整形外科学会整形外科専門医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター |
請田 修一 | 非常勤 | ウケタ医院 院長 |
山岡 弘明 | 非常勤 | 山岡整形外科医院 院長 |
山岡 茂雄 | 非常勤 | |
小島 央 | 非常勤 | |
渡邊 龍人 | 非常勤 |