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医療法人徳洲会 宇治徳洲会病院

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来

 


 

睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)とは

今月の外来担当表はこちら

 

睡眠中にいびきや無呼吸が多くでみられます。本人は気づかず、周囲に指摘される場合が多いです。呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下し、一瞬目覚めて呼吸をしても再び眠るとまた呼吸は止まります。十分な睡眠はとれなくなり、日中に強い眠気が出ます。下がった酸素濃度を補うために心臓に負担がかかり高血圧となります。酸素濃度の低下で動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞に、睡眠不足によるストレスで高血糖や高コレステロールなど、様々な生活習慣病やメタボリックシンドロームにもつながります。

 

診断は、問診・夜間の睡眠検査で行います。
治療は、持続陽圧呼吸療法(CPAP)、マウスピース、生活指導などで行います。

 

SASの多くが閉塞性の睡眠時無呼吸症(OSA)になります。
その他は中枢性の睡眠時無呼吸(CSA)で心不全などが原因です。

 

1. 閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)

呼吸に必要な肺への空気の通り道(上気道)が睡眠中に狭くなると「いびき」となり、完全に潰れてしまうと「無呼吸」となり一時的に呼吸が出来なくなります(閉塞性無呼吸)。
肥満やあごの小さい方に多くみられます。主な症状は睡眠中の大きないびき・時々呼吸が止まる(無呼吸)、睡眠中に息苦しくて目覚めることがある、夜中にトイレに行く、起床時の眠気・頭痛などです。

 

治療は持続陽圧呼吸療法(CPAP)が最も効果的です。

 

2. 持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)とは

機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。睡眠中はこれを装着します。圧力の大きさは、常に一定の圧力を保つ場合と、無呼吸の時にあわせて自動的に圧力が増す場合の2種類があります。
(日本呼吸器学会CPAP(シーパップ)とはどのような治療法ですか)より

 

1. QOL(生活の質)の向上に役立ちます。

日中の活力の回復、眠気・だるさの改善などに役立ちます。

 

2. 成人病(生活習慣病)の予防・改善に役立ちます。

高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病の予防・改善に役立ちます。
睡眠時無呼吸症候群は以下のような種類の成人病と深い関係にあります。
睡眠時無呼吸を治療することによって、このような成人病も改善することが知られています。

 

 

3. SASに合併する成人病

生活習慣病の多くは,無呼吸低呼吸指数が高いほど(つまり、重症度が高いほど)合併率が高くなります。
(眠時無呼吸症候群患者における生活習慣病の合併について 中俣正美、他:日本呼吸管理学会誌 12(2):250-255, 2002)

 

高血圧

睡眠時呼吸障害の無い人に比べて、中等症~重症の睡眠時呼吸障害を持つ人が高血圧になる頻度は約2.89倍でした。
(Chobanian AV, JAMA 289:2560 – 2572, 2003)
この調査結果は医学界にも大きな影響を与えました。
この報告を受けて、米国高血圧合同委員会第7次勧告で、睡眠時呼吸障害は高血圧の明確な主要原因の一つとしてみなされました。
高血圧は動脈硬化を引き起こし、心臓病、脳卒中などの大きな原因になります。積極的に睡眠時呼吸障害も高血圧も治療しましょう。
睡眠時無呼吸症候群で高血圧になってしまった後では、CPAP治療は血圧を下げる効果があります。数多くの資料がありますが、次の文献も厳密な調査結果で血圧低下を証明したものです。
※閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんでCPAP 治療をすると、血圧は有意に下がる。
(Pepperell JCT, et al Lancet 359: 204-210, 2002)

 

心臓病(狭心症などの虚血性心臓病)

SASを持っている人は、持っていない人に比べて平均寿命がはるかに短くなります。
SASの人が病死する場合、その主もな原因は心血管疾患(心筋梗塞、心不全、不整脈など)と脳血管疾患(脳卒中:脳出血、脳梗塞など)です。重症のSASを持っている人は、SASの無い人に比べて、致死的な心血管疾患になりやすいことが示されています。また、CPAP治療を行うとSASの無い人と同じぐらいに安全になることも分かります。大変重要な資料です。

 

 

 

OSASを持っている人の心臓血管病の発生率
新たに発生した心臓血管疾患を合計した数をOSASの重症度別、および治療(CPAP)を行った群で比べて、12年間観察した経過を示す
Marin JM, Carrizo SJ,Vicente E,Agusti AG.
Lancet. 2005 19-25;365(9464):1046-53.
Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study.

 

OSAS患者のAHI別にみた事故率の比較

 

作業効率改善

睡眠時無呼吸を持っていると色々な面で作業効率の低下をきたしますが、CPAP治療を行うと作業時間(パフォーマンスタイム)、や認識力・企画力の向上が得られます。
(Acta Neurol Scand. 2007 Jan;115(1):1-11)

 

睡眠中の症状日中の症状
いびき
異常呼吸
異常な体動
頻回なる覚醒
頻尿
夜尿症
過眠傾向
居眠り
起床時の頭痛
記憶力・集中力の低下
性欲の減退
性格の変化
労作時の息切れ

 

成人病と生活習慣33(10)1103,2003

 

 

医師紹介

氏名役職専門医・認定医・その他講習修了
末吉 敦院長日本内科学会 認定内科医・指導医
日本救急医学会 救急科専門医
日本循環器学会 循環器専門医
「植込み型除細動器/ページングによる心不全治療」研修 修了
日本集中治療医学会 MCCRC 修了
脳梗塞rt-PA適正使用講習会 修了
認知症サポート医
厚生労働省 臨床研修指導医